ゴミ屋敷清掃の現場で、お客様から「なぜこんなに高いのですか」という問いを投げかけられることは少なくありません。その答えを理解していただくためには、現場で実際に何が行われ、どこにコストがかかっているのかという舞台裏を語る必要があります。私たちが提示する料金の大部分は、実は目に見えない「分別」と「処分」にかかっています。現代のゴミ出しルールは非常に厳格であり、ゴミ屋敷から出た大量の物をそのままトラックに詰め込んで山に捨てるようなことは、法律で厳しく禁じられています。現場では、スタッフが足の踏み場もない空間に這いつくばり、プラスチック、金属、紙、布、そして思い出の品や貴重品を、一点一点指差し確認しながら仕分けていきます。この地道で果てしない作業こそが、人件費の正体です。例えば、四LDKの大邸宅の事例では、清掃料金として二百万円の見積もりを出しました。お客様は当初驚かれましたが、実際に作業が始まると、そこには三トントラックで十五台分もの物が詰まっていました。それらの物を素材ごとに分類し、自治体や専門の処理業者が定めた高い処理基準に合わせて梱包していく作業には、のべ二十人のプロフェッショナルが必要でした。また、処分費についても説明が必要です。ゴミの処分は、重さや体積によって料金が課されますが、現在の廃棄物処理場はどこも満杯状態で、受け入れ価格は年々上昇しています。特にゴミ屋敷特有の、湿気を吸って重くなった衣類や、腐敗した生ゴミが混じった不用品は、処理施設側でも嫌がられることが多く、割増料金を請求されることも珍しくありません。さらに、現場での安全確保や近隣への配慮もコストに含まれます。大量のゴミを運び出す際に、エレベーターや共用部分を傷つけないための養生作業、近隣に臭いが漏れないようにする配慮、そしてスタッフが感染症や怪我から身を守るための装備代。これらすべてが積み重なって、最終的な料金が形成されます。ある一人暮らしの男性の事例では、予算が限られていたため、私たちは「貴重品の探索は不要、すべて廃棄で良い」という条件でコストダウンを提案しましたが、作業中にゴミの山の中から故人の形見である貴金属や重要な証書が見つかり、結果としてその捜索に時間をかけたことが大変感謝されました。このように、料金とは単なる物の移動代ではなく、住人の過去を整理し、未来を拓くための専門的な技術料であるという実態があるのです。
現場経験者が語る高額見積もりの真相