長い時間と多額の費用をかけてようやく一軒家まるごとのゴミ屋敷が片付いた。しかしそれで全てが元通りになるわけではありません。そこに現れたのは長年のゴミの堆積によって深刻なダメージを受けた傷だらけの家です。この家を再び人が安全で快適に暮らせる空間へと蘇らせるためには「リフォーム」という最後のそして最も重要な仕上げの工程が不可欠となります。ゴミ屋敷の後のリフォームは単なる内装の模様替えとは全く異なります。それは建物の健康と安全を取り戻すためのいわば「治療」なのです。まずほぼ全てのケースで必要となるのが「床と壁の全面的な改修」です。ゴミから染み出した水分や汚物によって床材はシミだらけになり時には腐食して抜け落ちる寸前になっています。壁紙は悪臭とカビの温床と化しています。これらは表面的なクリーニングではどうにもなりません。床材と壁紙を全て剥がしその下地である構造材の状態を確認する必要があります。もし下地まで腐食が進んでいる場合はその部分を交換し防カビ・防腐処理を施した上で新しい床材や壁紙を施工します。次に重要なのが「水回りの一新」です。キッチン、浴室、トイレはゴミ屋敷において最も衛生状態が悪化しやすい場所です。長年の汚れとカビがこびりついた設備は交換するのが最も賢明です。最新のシステムキッチンやユニットバスにリフォームすることで衛生面が劇的に改善するだけでなくその後の掃除のしやすさも格段に向上します。そして忘れてはならないのが「徹底的な消臭作業」です。建材の奥深くにまで染み付いたゴミ屋敷特有の臭いはリフォーム後も残ってしまうことがあります。リフォームと並行してオゾン脱臭などの専門的な消臭作業を行うことで臭いの元を根本から断ち切ることができます。この大掛かりなリフォームを経て一軒家はようやく過去の暗い記憶と決別し新しい命を吹き込まれた再生の空間として生まれ変わるのです。