ゴミ屋敷から漏れ出す耐え難いほどの生ゴミの腐敗臭。それは近隣住民の平穏な生活を奪う深刻な「環境ハラスメント」です。窓を開けることもできず洗濯物も外に干せない。頭痛や吐き気に悩まされ家にいること自体が苦痛になる。このような状況に陥った時被害を受けている住民は泣き寝入りするしかないのでしょうか。いいえ悪臭被害が社会生活を送る上で我慢の限度(受忍限度)を超えていると判断される場合、法的な手段に訴えることも可能です。まず取りうる手段として民法上の「不法行為」に基づく「損害賠償請求」が考えられます。悪臭によって精神的な苦痛を受けたことに対する「慰謝料」や悪臭が原因で体調を崩した場合の「治療費」などを請求するのです。また所有権に基づく「妨害排除請求」として悪臭の原因であるゴミの撤去を裁判所に求めることもできます。これらの訴訟を起こすためにはその悪臭被害が「受忍限度を超えている」ことを客観的な証拠をもって証明する必要があります。単に「臭い」と主張するだけでは不十分です。例えば専門の業者に依頼して臭いの強さを数値で測定した「臭気測定結果報告書」や悪臭が原因で頭痛や不眠などの健康被害が出ていることを示す医師の「診断書」、そしていつどのような臭いがしたかを詳細に記録した「日記」などが強力な証拠となります。しかし訴訟には多大な費用と時間がかかります。そのためいきなり訴訟に踏み切る前にまずは自治体の「公害等調整委員会」などにあっせんや調停を申し立てるという方法もあります。これは裁判よりも簡易な手続きで当事者間の話し合いによる解決を目指す制度です。また弁護士に依頼し内容証明郵便で改善を求める通知を送ることも相手方に事の重大さを認識させる上で有効な手段となり得ます。生ゴミの悪臭は我慢する必要のない明らかな権利侵害です。一人で悩まず法的な選択肢も視野に入れ専門家に相談する勇気を持ってください。
生ゴミの悪臭!ご近所トラブルと法的措置